現在渋谷区内でテナントビルの設計監理を行なっています。
そのクライアントのT氏は、建設会社の元社長さんです。
お歳を召されて第一線を退かれても心身ともにとてもお元気で、工事に入った段階でも、現場監督はもちろんのこと、設計者である私にも頻繁にお声をかけられます。
その内容は、 地球環境からはじまり、政治、農業 、建築とは、設計とは、工事とは、という概念から、 果ては キッチンのディティール、宮大工さんの隅だしの方法に至るまで多岐に渡ります。

その豊富な経験と知識にはいつも脱帽してばかりなのですが、設計者としていつも感じることがあります。
それは、建築には答えがひとつではないということです。
ものごとには一方から見るのではなく、様々な視点を持つべきであるということです。
昨日は、口での会話ではなく、図面・スケッチで会話をおこない、長い時間をかけ議論しました。
一設計者として、このような貴重な経験をつませていただき、身が引き締まる思いで現場事務所を跡にしました。
結果としての建築デザインはもちろん大切でありますが、出来上がるまでの過程があっての結果であること。
またそれを実際につくっていただく施工の方々がいること。

 設計事務所を営んでいますと様々なクライアントと施工会社との出会いがあります。 
ですから様々な難題が降り注ぐ仕事でありますが、苦しくでも楽しいのです。